CHROMA

世の中の "当たり前" を確認する

辻村深月

今日は「読み終わった本リスト Advent Calendar 2015」2日目。明日は @matsui さん。


辻村深月は日本の小説家。2008年に発売された「凍りのくじら」の著者。

深月と書いて “みづき” と読むそうだ。辻本ではなく、”辻村” だそうだ。

まわりの評判に読まずにいられなくなった僕は、彼女の作品、「凍りのくじら」を読んだ。

この本では、人を一歩引いた視点から眺める少女が主人公だ。自分のことでさえ客観的に見つめ、どこか遠く高いところから世界を見下ろしている。

少女は誰とも深く関わらず、誰にも深く愛されない。いつも落ち着いていて、冷静に物事の本質を見抜く。

そのことを少女は自覚している。自分のことを誰よりも知っている。
そう思って疑わないから、鏡に写る自分の姿を見ようとしない。

鏡にゆっくりと小さく亀裂が入り、それが次第に広がって取り返しのつかないことになるまで、顔をあげて鏡を見ようとしない。なぜならそこに写る自分の姿を知っているから。

...話が長くなってきた。たいして小説の中身を話してないが、このあたりでやめておく。

僕は小説を読み終わったあと、幸せな気持ちになった。心が少し豊かになった。

自分が読んだ本を人に勧めるのなら、これだけで良かったはずだ。


何かが起こると読者に思わせながら、別に特別なことは何も起こらない。そんなふうに話は進む。最後まで。

それが辻村氏の話が気に入って、もう一冊彼女の本を買ってみた。「スロウハイツの神様」、何となくゆったりした時間が流れそうな本のタイトルだ。それ以外はわからない。

ジャンルや雰囲気は違えど、森見登美彦と同じくらい、自分にとって好きな作家になれば良いなと思った。