100円マジックと挑戦状
昨日マジックを見た。手に挟んだボールが、初めは 1つだったのに何度か手を振ると 2つに増えるというものだ。そして僕はこのマジックの種がわからなかった。
マジシャンだけがこの謎を知っていて、僕は知らない。その状況に満足してか、彼は幾度と無くマジックを僕の目の前で披露し、その度にニヤついた表情をこちらに向けてくるのだ!
彼は、僕がその場で降参を認めればマジックの種を明かしてやると言う。しかし、そのあとぼやくような小さな声で「このマジック道具は 100均で買った安物なんだけどな〜」と言われれば、僕の中の変なプライドが邪魔をして答えを聴くことはできなかった。
降参宣言の代わりに、「 1週間でも 1ヶ月でも 1年でも、どれだけ時間をかけても自分の力でこの謎を解いてやる!」と返し、彼がマジックに使った 2つのボールを奪ってその場を離れた。
しばらくの間、僕は 2つのボールとにらみ合いながら謎を解明しようとした。結局マジックの種は友人がネットで調べたことで明かされてしまうのだが、短いながらも答えがわからない問題に挑戦する時間は僕にとって十分な充足感をもたらしてくれた。
100円マジックも、人から挑戦状を叩きつけられるのも悪くない。自力で種が明かせなかったのは悔しかったけど。