CHROMA

世の中の "当たり前" を確認する

船来屋(はくらいや)

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徳川の時代あたりに始まった、海外から輸入した品物を扱う「唐物屋」から呼び方が変わったもの。そこからさらに時代が進むと、扱う品によって紳士物なら「洋品店」、婦人物なら「洋装店」、化粧品や日用雑貨なら「小間物屋」というふうに細分化されていき、現在では舶来屋という呼び名を聞く機会は少ない。

もしあなたがこの言葉を聞いたことあるとしたら、それは祖父や祖母から聞いたか、都内になる居酒屋の名前か、もしくは幸田 真音が書いた本のタイトルである。僕は今この本を読んでる。

まだ序盤だからか心が踊るような場面もなければ、人物にもそれほど惹かれていない。ただ、舶来屋という言葉もそうだけど、本の中に出てくる言葉にグッときてる。先述した唐物屋や洋品店、他にもシニカルやメリヤス、ローマ印!戦時中や戦争直後、異国の文化がまだ日本に浸透していなかった時代、へんてこだけど何処か僕には刺さる言葉というのがある。

あと本の表紙のデザインも好き。文字に味上がるのと、彩度の高いオレンジと黒が旨く組み合わされてる。しかしそれ以上に上手いと思うのが、タイトルや著者に視線を誘うように引かれた太さの違う線。無駄を省きながら場を保つ良いデザインだと思った。